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トリガーポイント療法とは?

​胸鎖乳突筋のトリガーポイントと関連痛

​小臀筋のトリガーポイントと関連痛

トリガーポイントとは【過敏化した侵害受容器】といわれています。

正常な組織を損傷するか、損傷する恐れのある刺激(=侵害刺激)に反応する受容器が、過敏になった状態のことです。

トリガーポイントは、関連痛や知覚過敏(シビレ)・違和感といった症状のほかに、感覚鈍麻・発汗・めまいなどの自律神経症状を引き起こすこともあります。

【トリガーポイントがよく発生する部位】

①筋肉が骨に付着する部分

②筋肉と筋肉が連結する部分(筋連結部)

③筋と腱の移行する部分

 

などの力学的にストレスのかかりやすい場所などにトリガーポイントは形成されます。そしてその多くは筋膜に存在していることがわかっています。

最近では特に重積した(厚く重なった)筋膜にあることがわかってきました。またトリガーポイントは筋膜以外にも、腱・靭帯・脂肪などの結合組織=ファシアに存在します。

トリガーポイント療法はそれらのトリガーポイントへ対しはりや押圧刺激を加えて症状の緩和を図ります。

トリガーポイントは1988年にはアメリカ合衆国元大統領ジョン・F・ケネディの主治医、トラベルと共同研究者の医師であるシモンズが、筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome; MPS)の概念を書籍(Travell JG, Simons DG ; 1983)で次のように提唱されました。

Myofascial Pain Syndrome:トリガーポイントによって引き起こされる知覚症状、運動症状および自律神経症状(を呈する症候群)。

しかし我が国の医学教育では、痛みの発生源として筋膜が想定されていません。結果的に、必要のない手術や過剰な内服薬(痛み止め、抗不安薬、抗うつ薬など)投与が数多く行われています。これらを是正することは、患者の利益になることはもちろん、医療費の適正な使用にも結びつきます。

〜トリガーポイントが発生する理由〜

トリガーポイントが形成される要因は、身体の【維持】と【酷使】と考えられています。

長時間同じ姿勢を維持したまま動かさないこと、逆に同じ筋肉を酷使することによって筋肉に小さい損傷や炎症が起こり、筋膜に癒着が起きます。そこにトリガーポイントが生じるのではないかと考えられています。

加齢によっても体全体の水分が減ることで筋膜は癒着しやすくなります。

また、栄養状態や糖質の過剰摂取も筋膜の癒着に関連がある可能性が報告されています。

〜トリガーポイントとツボの違いは?〜

ツボは中国古来より治療に使われてきました。身体には365個ものツボが存在していますが、トリガーポイントとツボ(経穴)は約7割ものポイントで一致しているといわれています。トリガーポイントができやすいところを、中国古来からツボ(経穴)として治療してきた背景があるのではと考えられます。

〜トリガーポイントを放置していると【関連痛】を引き起こす〜

トリガーポイントは関連痛と呼ばれる痛みをひきおこすことがあります。

詳しいメカニズムはまだ正確には解明されていませんが、痛みを感じる部位と痛みを発している部位が違うことがあります。

関連痛と痛みの原因であるトリガーポイントが一緒であれば、マッサージなどでも効果があります。トリガーポイントと痛みを感じる部分が離れていると考えられえる場合には、関連痛パターンを考慮して、はりやマッサージを用いてトリガーポイントを治療します。

トリガーポイントは放置すると症状の連鎖を引き起こすことがあります。筋膜の緊張状態が長引いて新しいトリガーポイントが生まれると、症状が複雑化する原因となります。症状の悪化を防ぐためにも、トリガーポイントは早い段階で治療する必要があります。

トリガーポイントマニュアル

​Travell、Simonsの

「トリガーポイントマニュアル 」全4巻

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